〜 04’クリスマスの夜 〜



ロ 「サラシャ どこにいる!?」



旅の途中 またまた宿をとったサラシャ一行。

しかし 夜になりサラシャの姿が見当たらないことに気付き

ロクスはそこいらを探し歩いていた。



ロ 「まったく 出かける時は声をかけろといつもいつも言っているのに」



少し呆れながらも 心配する中 ロクスがいったん部屋へ戻ると

そこにはロープとガムテープでぐるぐる巻きにされてるヒヨ(もっさー付き)が

ベッドに横たわっていた。



ロ 「ヒヨ!?」

ヒ 「むぐぐっ・・・・」



ロクスは慌てて駆け寄り ヒヨを拘束しているロープとガムテープを取り払った。



ヒ 「助かったよ ロクス。 ありがとう」

ロ 「何があったんだ! 一体誰がこんなことを? 魔物の仕業かっ!?」



もしそうならば サラシャに危険が迫っているかも知れない。



ヒ 「魔物じゃなくって サラシャにやられたんだよ」



そう、急がなければサラシャが危ない。・・・ って、え?



ロ 「サ、サラシャが・・・? 何故こんな真似を?」

ヒ 「うん。 それがさ・・・・・」



ヒヨは皆目検討も付かないロクスに ことの発端を話し始めた。





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サ 「今度こそ 絶対とっ捕まえてやるわよ!」

フ 「おぅ! 同じ過ちは繰り返さないようにしなきゃな!」



部屋の片隅で 何やら真剣に話し合いをしているサラシャとフジール。



いつになく気合が入ってる二人に 一体何を捕まえるんだろうと

ヒヨは会話に入ることにした。



ヒ 「二人とも何の話をしてるんだい?」

サ 「あら ヒヨ。 えっとね 去年の反省も踏まえて サンタ捕獲作戦を練っていたのよ」

フ 「去年はいつの間にか 寝てしまったんだよな」

ヒ 「(サ、サンタ捕獲って・・・。 冗談を言っているのかな?)」

サ 「頑張って外で見張ってたのにね」

フ 「一年に一度しかチャンスないのによー」

サ 「今年はもっと油断せずに行こう!」

ヒ 「(いや。なんか冗談じゃないっぽいぞ。汗)」

サ 「ヒヨは サンタさん見たことある?」

ヒ 「えっ!? (話振られた!どうしよう!)
   さすがに ちょっとないかなぁ・・・」



焦りながらも 無難に会話の波にのるヒヨ。



フ 「どんな面してんのか 興味あるじゃん?」

ヒ 「そ、そうだね。 気になるところだよね」

サ 「でしょでしょ! じゃあヒヨも作戦の仲間に加わってくれる?」

ヒ 「う、うん。 僕で良ければ協力するけど・・・」

サ 「・・・言ったわね。ふふ。(キラン)」

フ 「・・・あぁ。言ったな。 ふふ。(キラン)」



サラシャとフジールは怪しく微笑むと ロープとガムテープを取り出した。



ヒ 「(え? え? 何だよぅ!? 汗)」

サ 「去年の失敗は 見張っているだけで誰も寝ていなかったこと」

フ 「良い子が寝ていなくちゃサンタはやって来ない」

サ 「そう。 だから囮が必要」

ヒ 「(お、囮――!?)」

サ 「と言うわけで ヒヨはここで大人しく寝ててね」









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ヒ 「てな具合で グルグル巻きにされたのさ」

ロ 「そうか。 今日はクリスマスだったな。」



またこの日がやってきた。

一年に一度。 非常に厄介で困難な任務を遂行する日が。



ロ 「すまない ヒヨ」

ヒ 「気にしなくていいよ。 別に怒ってるわけじゃないし」

ロ 「いや そうではなくて・・・」

ヒ 「ん?」

ロ 「事が済むまで もう暫くここで寝ていてくれ!」

ヒ 「むぐっ!? (えぇ―――ッ!!)」



そう言ってロクスは 再びヒヨをグルグル巻きにして部屋を出て行った。









そして 当のサラシャとフジールはというと

宿から少し離れた木陰で ひっそりこっそり身を潜めて

目をキラつかせながら サンタの登場を今か今かと待っていた。



サ 「いい? フジール。 絶対見逃しちゃダメよ! 瞬き禁止だからね!」

フ 「おぅとも! 今年こそはしっかりその面拝んでやるぜ!」

サ 「うんうん。 そんで捕獲してトナカイの鼻が本当に赤いのかも確かめよう」

フ 「つーかさ 俺サンタさんに聞きたいことがあんだよ」

サ 「何々? 一晩で世界各国の子供にプレゼントを配るなんて
   実は何万人の部下を あごで使ってるんじゃないの? とか?」

フ 「ちっがーう!」

サ 「じゃ 何よぅ?」

フ 「何で 俺たちの希望のプレゼントがわかんのかって!」

サ 「そこは触れてはいけないロマンってものよ」

フ 「そうか。 そうだな・・・ ロマンだよな!」



そこへ一杯… どころかいっぱいひっかけてきた タトゥミとリュールがやってきた。



リ 「二人とも こんな所で何やってんだ?」

タ 「部屋に入らないと風邪をひくわよ?」

サ 「しっー! し・ず・か・に!」

リ 「な、なんだよ?」

フ 「騒いでたらサンタが来ないだろ?」

リ 「は? サンタ?」

タ 「そういえば 今日はクリスマス・・・」

リ 「もしかしてお前ら サンタを待ってんのか?」

サ 「そうよ。 だから 静かにしてて」

リ 「ふん。激ダサだな」

フ 「何だよ リュール。その言い方は」

リ 「サンタなんているわけねぇだろ。無駄無駄」

サ 「そんなことない。 絶対いるもん!」

リ 「いない」

サ 「いる!」

リ 「いないつったら いないんだよ!」

サ 「いるってったら いるのよ! 毎年希望のプレゼントを届けてくれるもん!」

リ 「ほぉ〜。 そりゃめでたい脳みそだな」

タ 「ちょっと! 言いすぎよリュール」

サ 「そうよそうよ。 すさんだ大人はあっちいってて!」

リ 「す、すさんだって・・・!
   (お前もとっくにサンタを信じる歳じゃないだろうがっ!)」←ちょっとショックを受けた

タ 「ところでサラシャ。 今年の希望はなんなの?」

サ 「えっとね 最近魔物との戦闘が増えてきたからさ
   私も手軽に扱える武器が欲しいなぁと思って」

タ 「じゃあ 弓とかかしら?」

サ 「ううん。 如意棒♪」

タ 「(で、出たわ。 世界観を超えた物が。汗)」

リ 「ぷっ。傑作だ。」

タ 「リュールは黙ってらっしゃい! それで ちなみにフジールは?」

フ 「俺? 俺は 新しい服が欲しいんだ」

タ 「あら? それは去年頂いたんじゃなくって?」

フ 「まぁ そうなんだけどさ。 なんつーか 俺の趣味じゃなかったんだよな。
   もっとしゃれた感じの服がいいんだ」

タ 「そ、そうだったの。(ロクスが聞いたら怒るわね きっと)
   それじゃアタクシ達は邪魔しないように もう行くわね」

リ 「ま、せいぜい頑張れよ。 無駄な努力だろうけど」

タ 「一言多いわよ リュール。 それ以上言ったら 氷付けにするわよ?」

リ 「ちっ。わかったよ。 ・・・ったく どいつもこいつも。」



タトゥミとリュールがいなくなると サラシャとフジールの視線は

宿屋から出てきたロスクに気付かないほど 煙突に一点集中。



タ 「あ、ロクス! こっちよ、こっち」



サラシャ達に気付かれないように タトゥミはロクスを宿屋の影に呼び込んだ。



ロ 「タトゥミ? ちょうど良かった。俺も今から探しに行こうと思っていたんだ。
   サラシャたちがまた…」

タ 「えぇ さっき会ったわ。 今年も頑張ってるみたいね あの二人」

ロ 「だろうな。 はぁ・・・」

リ 「てか お前の国はどういう教育してんだ? まだサンタを信じてるなんてよ」

ロ 「それはラブチュ王国に対しての侮辱か?」

リ 「そうは言っちゃいねぇ。 普通はありえないだろ?」

ロ 「サラシャがいると信じてるなら それを事実とするまでだ。
   それに 希望のプレゼントを用意するのは 護衛隊長の心得第24条にも記されている」

リ 「甘やかしすぎじゃねぇか、それ」

ロ 「そう言うお前こそ 毎年妹に希望するプレゼントを用意していたんじゃないのか?」

リ 「うっ・・・」←図星



ロ 「で サラシャの希望は何と言っていた?」

タ 「それがね ロクス。 サラシャってば また・・・」

ロ 「出来ればそうであってほしくはないが 世界観を超えた代物なんだろう?」

タ 「えぇ。 手軽に扱える武器が欲しいから 如意棒ですって」

ロ 「如意棒!? (そうきたか! 泣)」

リ 「大丈夫かよ? 用意出来んのか?」

ロ 「・・・あぁ。 何とかなるだろう」(やっぱりなんのかよぅ!)

タ 「ふふっ。 さすがね」

ロ 「それで フジールは?」

タ 「新しい服ですって」

ロ 「それは 去年やっただろう?」

タ 「そうなんだけどね。 なんと言うか・・・ ほ、ほら服って何枚あっても便利じゃない?」

ロ 「そうか。 なら手間も省けるし去年と同じものを」

タ 「え? それはちょっとやめておいたほうが」

ロ 「何故だ?」

タ 「えーと それはその・・・」

リ 「趣味に合わなかったらしいぜ? もっとオシャレな服がいいんだとよ」

タ 「(リュールってば 人が言葉を濁しているのにっ! このお馬鹿っ!!)」

ロ 「なっ!? 贅沢を言うなっー!!」

リ 「いや。 俺にキレられても」

ロ 「サラシャの分だけで相当時間がかかるんだぞ。
   いちいちフジールの趣味を考慮していられるかっ!」

リ 「わかったわかった。 落ち着け」

タ 「そうよね。 如意棒ですものね。苦労を察するわ」

ロ 「とりあえず・・・ タトゥミ 今年もまた頼む」

タ 「了解。 任せておいて♪」





まぁ そんなことがありまして次の日の朝 サラシャとフジールの枕元には

自分たちの希望したプレゼントが置かれていたという・・・。



如意棒は どこから? という謎は今年もスルーしましょう。

ラブ伝の鉄則なのです。