〜 夏の海 U 〜



さぁ 次の試合に行こう。

ナレーションは あいかわらずボク。 文句のある奴は遠慮なく前に出ろ。



◆ 第二試合 杜の都 VS 賞金稼ぎの町 ◆



タ 「さてと アタクシ達の出番ね」

パ 「あぁ。 ここに来てまた出番があるとは」

ミ 「俺もすっかり忘れられてると思った」

タ 「それにしても リュールも運がなかったというか 災難ね」

リ 「言ってる意味が よくわかんねぇな。 運がないのはそっちだろ?」

タ 「あら? 魔法使い三人相手に勝てるとお思い?」

パ 「なめられたもんだなぁ」

ミ 「ま いーさ。 どうせ吠え面をかくことになるんだからね」



ほぉ。 魔法使いチームは 自信満々だ。

ソレに対して リュールは やる気満々だ。



リ 「ふっ。 魔法でどーこー思ってんならそっちの負けだぜ? 魔法対策なら万全だ」

オ 「おぅよ! よぅリュール。 本当にやっちまってもいいんだな」

プ 「わ、私も 全力で頑張ります!」



てかさ 賞金稼ぎチームは どう見ても即席って感じだけど。

チームワークとか その辺大丈夫かい?

仲介人のオヤジの体力が どこまで持つかも不安要素の一つだし〜。



イ 「ピピー。 では試合を始めます」

タ 「先攻はアタクシたちね。 パッピ長、サーブはお任せします」

パ 「魔法使いの凄さってのを 教えてやろう。 そらぁ!」



ホント凄いや。 ボールを凍らせてサーブ打ったよ。

ボクら忍者の氷遁の術に似てる。

おっと 同時にグラマラスなお姉さんが何か呪文を唱え始めた。



タ 「まずはリュール。 貴方から潰させ頂くわよ。 覚悟はよくって?」



“フレイム”



リ 「やはりそうきたか。 プーニ!」

プ 「はいっ! 私がリュールさんの盾になりますッ!!」

タ 「えっ!? ちょ… プーニちゃん 危ない!」



リュールに呼ばれ 庇うように前に立ちはだかるプーニ。

タトゥミも プーニにフレイムを喰らわすのはマズイと思って

ギリギリでフレイムの方向を変えたみたいだ。

しかも それがボールに当たって せっかく凍らせたボールも

ノーマルボールになってしまったじゃないか。



オ 「よっしゃぁ〜! 計算通りだ!」



オヤジがここぞとばかりに張り切りレシーブすると プーニが上手くトスを上げ

でっかい剣を抜いたリュールが 上から叩き斬るようにボールを打つ。

それもなかなかの威力で ズバンと相手コートに決まった。



タ 「ちょ、ちょっとリュール。 プーニちゃんを使うなんて汚いわよ!」

リ 「うっせー。 賞金稼ぎたるもの どんな手を使おうが目的を遂げることに意味がある」



なるほど。 これが さっき言ってた魔法対策ってやつか。



リ 「文句言ってないで 構わずぶちかましたらどうだ?」

タ 「そんなこと出来るわけないでしょう」

リ 「だろうな。 その優しさが仇になるってことを
   せいぜいその甘ちゃんなオツムに叩き込んでおくんだな」



てか リュールの柄が悪すぎやしないか? 後で苦情がきたってボクは知らないぞ。

プ 「それじゃ次 こちらからサーブ行きます。 そぉ〜れ!」



あれ? 杜の都チームは 誰も動く気配がない。

このままだとサービスエースになって……



パ 「“ウィンドクロス”



パッピ長が 余裕綽々で呪文を唱えると 大きな風が巻き起こり

ボールはそのまま 遠くまで飛んでいってしまった。

サーブアウト狙いだったか。 これで1対1の同点。



リ 「おいっ! そっちこそ汚ねぇぞ!」

パ 「どのへんが?」

リ 「どのへんがって とりあえずサーブくらいは取れってんだ!」

ミ 「生憎 俺達魔法使いは 無駄な体力を使うことを嫌うんでね」

タ 「ふふ。 そういうこと」

リ 「ちっ」



次は 杜の都のサーブ。 またボールに何か魔法を仕込んだみたいだ。

バチバチしてるあたり 雷系の魔法かな?



タ 「感電には くれぐれもお気をつけて」

オ 「ここは俺に任せておけ。 なんつっても俺は 昔大怪我した時に
   治療したボルトがそのまま体に残ってるんで 放電可能だからな!」



これはこれは なんとも予想外。

杜の都チームもさすがに ここまでは読めなかったろう。

またもや オヤジがレシーブして プーニがトスを上げる。



リ 「喰らえッ タトゥミ!」



うーわー。 電車男もビックリのお姉さん狙いでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!



タ 「なんのこれしき! “アームストロング”



どうやらタトゥミは魔法で腕を強化して アタックボールを上手くさばいた。

てか そんな呪文もあったのか。 読者の皆さん ちゃんとメモしておいてね。



ミ 「よし チャンスだ。 俺にボールを!」

パ 「決めてくれ ミャカ」

ミ 「せぃやッ!!」

ドカッ!!

プ 「うぐっ…」



なんと! ミャカの放ったボールは プーニのみぞおちに直撃した。



リ 「プ、プーニ! 大丈夫か!?」

オ 「お嬢ちゃん しっかりしろ」

ミ 「ふふん。 俺は 相手が女だからって容赦しないよ。
   ちなみに さっきのボールには麻痺呪文をかけておいたから
   触れた者はしばらく動けない」

パ 「ミャカ…。 杜の都を出て数百年。 わりと非情になったな。(汗)」

ミ 「そう? 勝ちに拘る正しい姿勢だと思うけど」



これで 2対1となって 杜の都がマッチポイント。

賞金稼ぎチームは プーニのリタイアで2人になったけど

ただでは終らせないオーラが リュールから漂っております。

幸いサーブは ポイントを取った杜の都からで

賞金稼ぎチームがサーブアウトで 試合終了という筋書きだけは避けられた。



ミ 「この一球で終わりだ。 そらっ!」

リ 「また麻痺ボールか!? なら 剣で受けるまでだ」

タ 「そうはさせなくってよ。 サンドストーム



またもや 初お目見えの呪文だ!



リ 「砂嵐で視界を奪うってわけか。 そうはさせるか! “奥義其乃一の太刀 螺旋烈風刃”」



え? 奥義って!? そんなもの存在したのか。 流石にボクもちょっと驚いた。

大剣を使ったリュールの奥義で 砂嵐はかき消され

リュールはそのまま 剣でボールを上空高くさばく。

プーニがいないため 次にボールを打つのは必然的にオヤジになるわけだけど

ボールに触れたら麻痺しちゃうし さぁ どうするオヤジ?



リ 「オヤジ これでめいっぱい叩き込め!」

オ 「お嬢ちゃんの仇 取らせてもらうぜ―ーッ!!」



リュールが大剣をオヤジに渡すと オヤジはジャンプして 舞い上がったボールを捕らえると

大剣を思いっきり振り下ろす。



ザシュ!! ・・・・・ポテ



オ 「よっしゃー! これで同点・・・・ って、ポテ??」

イ 「ピピー! 試合終了。 3対2で 杜の都の勝利」

オ 「あ、あれ?」

リ 「てめっ… オヤジ―! 斬ってどうすんだよ 斬って!!」



オヤジによって真っ二つになってしまったボールは

片方は相手コートへ もう片方は自分のコートへ。

ボールを斬っちゃいけないってルールはないけど

このボクが どう判定するか迷った結果 双方一点づつ追加ってことにしておいた。

あー 何かルールを勝手に決めれるボクってかっこいい。



オ 「ボールを斬るつもりはなかったんだが。(汗)」

リ 「あのな! ちゃんと刃でないほうで叩かないと斬れるに決まってるだろーが!
   てか 斬ったら斬ったで 両方相手コートへ落とせ! そしたら逆転勝利だったんだぞ!」

オ 「す、すまん...orz」



タ 「残念だったわねぇ リュール」

ミ 「相手さんのミスで 試合が決まるのはちょっと不服だけど」

パ 「まぁ 儲けものってやつさ」



金儲けをする賞金稼ぎが 逆に儲けられたところで

次回 決勝戦【チキン王国 VS 杜の都】に続く。

機械と魔法の対決。 わりと見ものだと思うよ?







 


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