〜 持つべき者へ 〜



その夜――――

タトゥミは物音に気付き目を覚ました。

ふと横を見ると隣で寝ていたはずのサラシャがいない。

ロクスに知らせるべきかと思ったが 休んでいるところを起こすのも悪いと思い

一人で外へサラシャを探しに出た。



バサッバサッ



静かな夜に 響き渡る音。

何かと思い音の聞こえたほうへとタトゥミは歩き出す。

まさか また魔物が!?

やっぱりロクスを起こすべきだったかしら。

とにかくサラシャを見つけないと・・・

自然とタトゥミの足が速くなる。



タ 「サラシャ? そこにいるの!?」

サ 「あ、タトゥミ。 起こしちゃった?」



空を見上げていたサラシャはタトゥミの声に振り向いた。



タ 「何をしていたの? 心配するでしょ。」

サ 「ごめん。すぐに戻るつもりだったんだけどね。なかなか鳥さんが見つからなくってさ。」

タ 「鳥さん?」

サ 「うん。今ね、鳥さんをひっ捕まえてお父様に手紙を運んでもらったの。」



さっきの音は その鳥が飛び立つ音だったわけね。



タ 「あら もしかしてホームシックかしら?」

サ 「う〜ん。まぁ そんなとこかな。」



いつも元気なサラシャも 淋しくなったりするものなのね。

こんな夜中に一人抜け出して国王様に手紙だなんて。



タ 「さ、戻りましょサラシャ。あまり夜風にあたると風邪ひくわよ。」

サ 「うん。ねっ、タトゥミ。いい村だよねぇここ。」

タ 「どうしたの急に?」

サ 「私は王国で育ったから ほとんど外に出たことはなかったんだ。
   お父様について国交でいろんな国にいったことはあるけど 村とかはね・・・」

タ 「アタクシも同じよ。杜の都から出たことはなかった。」

サ 「ここの人たちは自分達の手でモノを作って 助け合って村を作ってる。凄いよね!」

タ 「そうね。小さな村だけど素晴らしいと思うわ。」

サ 「・・・守りたい。王国みたいに大きくはないけどここにはたくさんの幸せがある。」

タ 「えぇ。アタクシ達はその幸せを守るために旅をしている。
   ここに来てサラシャの覚悟が一回り大きくなったわね。」

サ 「うん! ゴォーと燃えてきたわっ♪ 頑張ろうねタトゥミ。」



あぁ見えても芯はしっかりしているんだ。



タトゥミは 満月の夜にロクスが言っていたことを思い出す。

今ならアタクシにもわかる。

表面では軽い言葉を言っていても 内に秘めたる強さは本物。

そして それは計り知れないということ・・・







次の日の朝―――――



出発の時間を迎え プーニに別れを告げる。



サ 「それじゃ、プーニちゃん。いろいろとありがとう!」

プ 「いえ、こちらこそ命を助けていただいて。」

サ 「トン・ソォークを倒したらまた遊びに来るからね。」

プ 「うん。楽しみにして待ってますんで頑張って下さい♪」

サ 「あ、それと! 昨日お父様にこの村に護衛兵を寄こすように頼んでおいたから
   もう魔物が現れたって平気だからね。遠慮なくこき使ってあげて。(笑)」

プ 「お父様・・・? 護衛兵・・・? あなたはもしや!?」

サ 「それは聞いちゃいけねぇな、いけねぇよ♪
   と、言う訳で元気でねプーニちゃん。残念無念まった来週〜♪
   それじゃ、みんな 油断せずに行こう!!」



わかる人にしかわからない挨拶を告げて(プーニちゃんにはわかるから良し!)

サラシャ達は村をあとにした。

サラシャ達の後姿を見ながらプーニは心の中で感謝を述べた。



ありがとうございます、お姫様。

身分を隠したつもりでしょうけどバレバレですよ。まだまだだね(笑)







ロ 「サラシャ いつの間に国王に護衛兵を頼んだんだ?」

サ 「だから 昨日のうち。ま、いいじゃない 細かいことは。」

タ 「昨日のあれはホームシックじゃなかったのね。」

ロ 「昨日のあれ? 何のことだタトゥミ?」

タ 「ま、いいじゃない。細かいことは。ふふっ♪」

ロ 「(余計気になるんだが・・・)」

フ 「あんま考え込むなって。 額の傷が深くなるぞロクス〜。(笑)」

ロ 「それは関係ないだろう!」



そんな雰囲気で(どんなだ?)4人は 港町へと向かった。

そしてロクスの額には傷があることがインプットされた。









その頃 海を挟んだ向こうの大陸では―――――



とある鉱山の中 失望に陥る者が一人・・・・



「だめだ。この鉱山も死んでる。 全部トン・ソォークが復活した影響か・・・
 鉄も銅も石炭も 取れないんじゃ機械を動かすことが出来ない。くそぅ!」



どれだけ掘ってもなんの資源も得ることが出来ない。

それでも諦めずに 一人で炭坑を掘っていた。

すると、スコップの先に何か当たりガツンと鈍い音を立てた。

それを丁寧に掘り出してみると。



「なんだろうこれ? エメラルドっぽいけど。 初めて見る石だなぁ。」



そして その石を手に取るとその石がキラキラと輝きだした。



「うわっ!?な、何だこれ?
 とりあえず持って帰るか。何かの動力になるかも知れないしね。」



いきなり輝きだした石に驚きはしたが 今はどんな資源でも欲しい状況。

その石を大事に袋にしまうと またもくもくと炭坑を掘りあさる。

しかしそれ以上 何も手に入れることは出来なかった。



「やっぱりダメか・・・
 早く戻ってきてくれ レヴ。 早くしないと民衆が暴動を起こしかねない。
 今はおまえだけが頼りだよ。」



そう言い その者は鉱山をあとにした・・・・    







    


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