兵士たちは 空軍と地上軍に分かれる。
少しの無駄もない動き。 その動きは見事なまでに統制されている。
空軍兵士は見たこともない空飛ぶ機械に乗り込み次々と城を離れていく。
小型飛空機とでもいうのだろうか。
機体にそれぞれ番号が書かれてるあたり専用機なんだと思う。
地上軍兵士もそれに良く似た機械に乗り込み もの凄いスピードで出陣していく。
全ての動力が起動し チキン王国全体が揺れているように思えて
サラシャは始めてみる機械に圧倒されていた。
ヒ 「僕もこうしちゃいられない。僕の飛空機をここへ!」
兵士 「はいっ!ただいま!!」
ヒヨはスカウターをつけて戦いの場へ行く準備を始める。
サ 「私も何かお手伝いするわ!」
ヒ 「じゃあ 負傷した者たちの手当てを頼めるかな?」
サ 「うん。わかった! まずは外にいる負傷者を城の中へと誘導する。」
フ 「サラシャ 俺も一緒に行くぞ。」
サ 「そうとなれば 行くわよ フジール!」
そう言って サラシャはベランダに足をかける。
ヒ 「えっ!? ちょっとサラシャ何してるんだよ?」
サ 「こっから飛び降りるのよ。近道♪」
フ 「近道って 俺ならともかくサラシャには無理だろー!」
サ 「大丈夫よ♪ 下にロクスがいるから。 んじゃ、お先に。」
ロクス・・・
彼の任務は いかなる状況でも的確な判断を下し 姫を護衛する。
それが たとえぉ姫さんの勝手気ままなはっちゃけた行動だったとしても。
中庭からベランダに足をかけたサラシャを見たロクスは
急いでベランダの下に向かって走り出す。
ロ 「まったく 無茶なことを・・・」
タ 「ちょっとロクスどこへ!? ・・・って、なるほど。ご苦労様。
アタクシは先に行ってるわよ。」
ロ 「わかった。俺も後で向かう!」
タトゥミもベランダの光景を見て ロクスの走りだした意味を理解し
先に一人で 戦いの場になるであろう王国の北へと向かった。
ベランダでは 飛び降りようとするサラシャを止めようとするが
サラシャがそうそう止まるわけもなく。
フ 「いるからって そんな簡単に・・・ おいっ!!」
フジールがそう言った時には サラシャは勢いよくベランダを飛び越えていた。
ヒ 「ほんとに飛んだ。 というか 落ちたけど 大丈夫なのかな?(・_・;)」
フ 「お、俺のせいじゃないぞ! 俺はちゃんと止めたからな!」
二人は恐る恐る サラシャがペチャンコになってない事を祈りながらベランダの下を覗き見た。
ヒュ〜〜ン ドサッ
サ 「ナイスキャッチ。」
ロ 「あのな・・・。 木から飛び降りるのとはワケが違うんだぞ。」
サ 「木もベランダもたいして変わりはないじゃない。」
ロ 「あの頃とは 重さが違うといっているんだ。」
サ 「( ̄□ ̄;)! 何よぅ、失礼ねっ!」
その様子を見て ほっと胸を撫で下ろすフジールとヒヨ。
ロクスに怒られてはいるものの スプラッタにならなくて良かった。
ヒ 「さすがは噂に名高い護衛隊長だね。」
フ 「まぁ いつものコトと言えばいつものコトなんだけど。わりと凄いよな。」
ヒ 「彼の護衛は完璧だと聞いているよ。
どんな事態でも取り乱すことなく 冷静な判断が出来る。
それに加えて 剣の腕も確かなもの。
サラシャが何の不安も持たず行動できるのも頷ける。」
フ 「 ( そ、そんな凄い奴だったのか!? ロクスは。)」
ヒ 「でも 過去に一度だけ・・・」
フ 「ん?」
ヒヨが何か言いかけようとし フジールが首を傾げると下からサラシャの声が飛んだ。
サ 「フジール! 何もたくさしてんのよぅ!」
フ 「今行くっての!」
フジールがベランダから飛び降りると ヒヨの専用機も到着したらしく
専用機に乗ったヒヨが3人のもとへ降りてきた。
ヒ 「僕はこのまま北へ向かうから ここは頼んだよ。」
サ 「わかった。 任せておいて。 ヒヨも気をつけて。」
ヒ 「うん。何としても魔物を王国に入る前に喰い止めないと。」
ロ 「俺も前線へ出る。 タトゥミも今向かってるはずだ。」
ヒ 「わかった。じゃあ 僕は先に行っている! 向こうで落ち合おう!」
北の空には 肉眼で確認出来るまでに魔物たちが押し寄せてきている。
ヒヨは飛空機に加速をつけて 北の空へと飛んで行った。
ロ 「サラシャは負傷者を城に誘導したらそこから出るな。わかったな?」
サ 「うん。 お城の中で怪我人の治療をする。」
ロ 「では 俺たちも行くか。」
フ 「俺たちも・・・って まさかまた俺も?」
ロ 「当然だ!」
またまた ロクスに首根っこを掴まれて
フジールは引きづられながら前線へと向かう。
フ 「わかったから 引っ張るなって。あー、ほら服が伸びたじゃん!
俺の服はロクスのような高貴な服じゃなくて 安物なんだぞっ!」
ロ 「ふざけてないで たまにはやる気を見せたらどうなんだ。」
フ 「んなこと言われたって・・・。」
ロ 「お前のために言ってるんだ。」
フ 「意味がよくわかりませーん。」
ロ 「実践を積んでおかないと後で自分が痛い目に会うぞ・・・。」
いつもなら ふざけて返せばゲンコツが飛んでくるのに
いつになく真剣なロクスにフジールは少し戸惑いを感じた。
フ 「痛いめにあったことが・・・ あんのか?」
ロ 「・・・・まぁ。 そう言うことだ。」
ほんの一瞬だが暗い影を見せたロクスにフジールは驚く。
そして 気のせいかロクスの額の傷がいつもよりクッキリ浮かんだように見えた。
そういえば さっきヒヨが何か言いかけてたよな。
それと何か関係あんのかも。
フ 「なぁ ロクス。その痛い目ってのはいつ・・・」
ロ 「余計な詮索はするな。今は目の前のコトだけ考えろ。」
目の前ねぇ。
言われたとおり 視線を前に向けるとそこには・・・。
フ 「うがぁー! 魔物だらけっ!!(汗)
さぁ フジール。 今度こそ 短剣を使えよぅ。
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