〜 繋がる意思 〜



タトゥミとヒヨに遅れ ロクスとフジールが戦いの場へ着くと

そこではすでに 乱戦が繰り広げられていた。

地上軍部隊と魔物の戦いで舞い上がる砂ぼこり。

そして 空一面を覆うくらいの魔物の数。

飛び交うチキン王国の空軍部隊。 最前線にはヒヨの姿があった。



フ 「すっげぇぜ ロクス! まるでスターウォーズみたいだ!!」

ロ 「あぁ さすが機械王国。 武器も
   って 感心してる暇はなさそうだな。」



ロクスが空を見上げると 数匹の魔物がこちらに向かって飛んできた。

素早く剣を抜き 構えるロクス。



ロ 「フジール! ぼやぼやしていると殺られるぞ。」

フ 「わかってるって。 使い方は実践で・・・だろ?」

ロ 「ふっ。わかっていればいい。」



ロクスの隣で フジールもわりと様になってる姿で構えた。

てか・・・ てか・・・・

フジールが 短剣を抜いてるッ!

ここにきて やっとやっと短剣を抜きました。 今日は赤飯だ。



フ 「いつまでもヘボキャラでいられるかってのッ! うらぁ! おらぁ!」



下手な鉄砲数撃ちゃ当たるってなもんで フジールは所構わず短剣を振り回す。

せっかくやった短剣 もうちょっとかっこ良く扱ってほしいなと思いつつ

ロクスは巻き添えを食わないように フジールとの距離をとる。



ロ 「とりあえずやる気になっただけでも 良しとするか。」



戦闘モードに入ったフジールを確認し ロクスも戦いに集中する。

倒しても 倒しても 次々に襲い掛かってる魔物の群れ。

足元に増えていく屍骸が その数を物語っている。



タ 「ロクス! 来てたのね!」

ロ 「タトゥミ 無事だったか。 遅れてすまない。」

タ 「サラシャは!?」

ロ 「案ずるな。 城で負傷者を手当てしている。」

タ 「そう ならいいわ。」

ロ 「しかしものすごい数の魔物だな。飛空タイプの魔物は初めて見る。」

タ 「えぇ。きりがないわね。 一気に片付けたいところだけど
   こうも敵味方入り乱れていると 危なっかしくてそうそう魔法も使えないわ。」

ロ 「確実に一匹ずつ倒しすしかないか・・・ 時間がかかるな。」

タ 「そうなのよ。 コイツら一向にこの先へ攻めて来ようとしない。
   まるで 時間稼ぎをしているような・・・」

ロ 「時間稼ぎ? まさか・・・」



ロクスがそう言った時だった。

ドォーン!!

南の方角から大きな爆発音がなり 火柱が立ち上った。

そして 火柱の周りには魔物の姿が見えた。

城の南は城下町・・・ 民衆達が生活をする場・・・



ロ 「やはりか! 奴らは挟み撃ちを狙っていたんだ!」

タ 「ここに王国部隊を集めておいて 民衆達を攻める気だったのね!」



炎で紅く染まる南の空を見て ヒヨの飛空機が止まる。



ヒ 「な、なんてことだ・・・」



愕然とするヒヨに ロクスが叫んだ。



ロ 「ヒヨ!しっかりしろ!オマエがシッカリしないでどうする!」

ヒ 「ロ、ロクス・・・。」

ロ 「ここは俺たちに任せて 今すぐ全部隊を南へ向かわせろ!」

ヒ 「任せてってこの数だぞ!?」

タ 「心配ご無用よ。 アタクシ達のことよりも民衆を!」

ヒ 「レヴのことにしても どうして君たちは他国の事に体を張るんだ?
   危険なのはわかってるはず。」

ロ 「そんなのは簡単なことだ。」

タ 「アタクシたちがそうしたいから。」

フ 「敵はトン・ソォーク。一緒だろ?」 (あ、フジールいたんだ。)



偽善でも 単なる人助けでもない。

これは それぞれの意思。 そして その意思は確実に繋がってる。



ロ 「それに ヒヨは同志だ。 おまえが輝勇石を手にした時からな。」

ヒ 「き、輝勇石?」

タ 「詳しい話は後よ。 とにかく今は急いで!」

ヒ 「わかった。全部隊に告ぐ! 直ちに南へ向かうんだ! 民衆には指一本触れさせるな!」



アクセル全開ぶっ放すヒヨに続き 全部隊が城下町へと向かい出す。



今日 初めて会ったばかりの彼ら。 しかも まだ数時間しか立っていない。

だが ヒヨは確かに感じていた。 彼らに信頼という二文字を。



緑の輝勇石・・・

その石の意味は『信頼』









  


TOP