チキン王国の兵士達がいなくなり 北側に残されたのは
ロクス タトゥミ フジール。 そして数え切れないほどの魔物たち。
斬っても斬っても 千歳飴のように向かってくる魔物にフジールは焦り始めた。
フ 「つーか 3人ぽっちでどぅすんだって!」
タ 「大丈夫よ フジール。アタクシに任せて。」
ロ 「どうする気だ!?」
タ 「一気に片付けるわ。 ロクス、悪いけど少し時間を稼いでくれるかしら?」
ロ 「何か策でも?」
タ 「それは 見てのお楽しみよ。」
ロ 「よし わかった。」
フ 「タトゥミ〜 俺はあてにしてくれないのかよ・・・」
今回 張り切っていただけに凹むフジールをよそに タトゥミは魔法の詠唱を始めた。
ロクスはタトゥミの前に立ちはだかり 鉄壁の守りを見せる。
フジールは 俺だってやれば出来んだぞー!と短剣を振り回す。
出来てるようで出来てないのは 見逃してあげよぅ。
そして 魔力を集中させたタトゥミは 空に手をかかげて魔法を唱えた。
タ 「サンダーボルトッ!」
空一面に暗雲が立ち込め 雷鳴が轟き 雷が次々と魔物を襲う。
その雷は魔物がいなくなるまでなり続ける。
そして全ての魔物を倒すと 雲は消え去り何事もなかったように青い空へと戻った。
ロ 「見事なものだな。」
フ 「す、凄すぎなんだけど!!」
タ 「フフッ。 ざっとこんなもん・・・よ・・・」
ドサッ
そう言って妖艶な笑みを浮かべ振り向いたタトゥミは
力が抜けたように 地面へと倒れこんだ。
フ 「タトゥミっ!? 大丈夫か?」
タ 「えぇ・・・ これくらいのことで・・・」
ロ 「あれだけの魔物を倒したんだ。 魔力も体力もかなり消費しただろう。
そして身体への負担も大きいはず。」
フ 「そだったのか・・・」
タ 「アタクシもまだまだ修行が足りないわね・・・」
ロ 「立てるか? 肩を貸そう。」
タ 「ありがとう。 ごめんなさいね 面倒かけさせちゃって。」
フ 「何水臭いこと言ってんだよ。俺たち仲間だろっ!面倒なんて思わねぇよ。」
ロ 「あぁ。仲間が助け合うのは当然のことだ。
それに今回助けられたのは俺たちのほうだしな。」
長期戦を覚悟していたが タトゥミの放った魔法で戦闘は一気にかたがついた。
南側の様子が気になるところだか ここはタトゥミの身体が優先。
ロクスとフジールはタトゥミを抱え サラシャのいる城へと向かった。
その頃南側では――――
レ 「みんな 無茶はするな! 怪我をした奴は城へ戻れ!」
いきなり町に襲い掛かってきた魔物と必死で戦う民衆達。
その指揮を執っているのはレヴ。
しかし いくら機械を持っていても戦闘に慣れていない民衆達では
まともに魔物と戦うことは出来なかった。
町は焼かれ 破壊されてゆく。
多くの民衆が心身共に傷ついていた。
民衆 「レヴ。お前も城へ避難したほうがいい! 血が出てるじゃないか!」
レ 「これくらい大丈夫だ。 ほんのカスリ傷さ。」
レヴから流れてる血は決してカスリ傷なんてものではない。
貧血よろしく 出血多量で倒れてもおかしくないくらいだ。
そのレヴがこうして立っていられるのは ヒヨを信じて待っているから・・・
俺はここを退くわけにはいかない。
きっとヒヨがこの事態に気付いてここへ来る。
それまで なんとかして魔物を喰い止めておかないと。
俺は今 俺に出来ることする!!
レヴはたくさんの着火弾を身に付けて 魔物の中へ突っ込んでいった。
ヒ 「早まるな レヴ―――!!」
自爆寸前のところで ヒヨがレヴの前に姿を現した。
ヒ 「命を粗末にするんじゃないッ!(・_・)ノ」
レ 「って、その顔文字 緊迫感のかけらもないぞ。」
ヒ 「なんだよ すごい血が出てるじゃないか!(・_・;)」
レ 「俺の心配なんかしなくてもいい。 それより すまないヒヨ・・・ 町が・・・」
ヒ 「いや レヴはよくやってくれた。これは僕の判断ミスだ。
聞いてくれレヴ。 もう町の半分以上が破壊された。
それに これ以上闘っても犠牲者が出るだけだ。
かと言って闘わないわけにもいかない。
だから 一気にカタをつける。」
レ 「一気に? どうやって?」
ヒ 「・・・アレを使うよ。」
レ 「!! アレを・・・ 使うのか・・・」
ヒ 「兵士達には 民衆を連れて城に避難するように指示をしておいたよ。」
レ 「そうか。もうその手しかないんだな。わかった 俺も手伝うぜ!」
ヒ 「じゃあ 行こう!」
ヒヨはレヴを飛空機に乗せて アレとやらを使うために城の最上階へ向かった。
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