〜 信頼を背に 〜



一夜明けて・・・



瓦礫の山と変わってしまった街では

民衆達が力を合わせ街の復興に勤しんでいた。





あれから ヒヨはチキン王国の全国民に向けて謝罪の言葉を述べた。

街を破壊したヒヨ王子に 驚く者 ショックを受けた者 不満を持つ者がいたかも知れない。

けれど ヒヨはこの国にとって一番大切なものを守った。

どんなに発達した街でも 人がいなければ死んでるのも同じこと。

皆が生きていれば いくらでもやり直すことが出来る。

どんな優れた機械も 民の手から作られる。

皆がいて そして機械があるのがチキン王国。

そんなヒヨ王子を皆が誇りに思い称えた。

これは本当の意味での チキン王国の復活だった。







王室の窓から一人静かに外の様子を見ていたヒヨ。

そこへレヴがやってきて 暗い面持ちのヒヨに話しかける。



レ 「なーに しけたツラしてんだよ?」

ヒ 「レヴ? もう平気なのか?」

レ 「おう。昨日サラシャに手当てしてもらったからな。あの治癒能力はたいしたもんだ。」

ヒ 「そうか。 良かった・・・。」

レ 「そんなことより サラシャ達が大広間で待ってるぞ? ヒヨに話があるんだと。」

ヒ 「うん わかった。サラシャ達には改めて御礼もしなきゃいけないしね。」



なんとなく話の予想はついていた。

昨日 ロクスが口にした言葉。 “輝勇石”

それが一体なんなのか ヒヨも少し気になっていた。

そして大広間で サラシャ達から聞かされた話にヒヨは驚いた。



ヒ 「この石にそんな力が?」

タ 「ちなみにアタクシは青の輝勇石を持っているわ。」



タトゥミが青く輝く輝勇石を見せると ヒヨは確認するように

炭鉱で拾った石を袋から取り出した。



ヒ 「色は違うけど・・・ 一緒だ。」

レ 「本当だ。 確かに光ってる。」



ヒヨと一緒に話を聞いていたレヴも 同じようにしてその石を覗きこんだ。



サ 「輝勇石は持つべき者が手にした時にしか 輝かないらしいの。
   だから ヒヨは・・・」

ヒ 「いや ちょっと待ってよ。 だって俺は偶然これを見つけただけで
   輝勇石の戦士とか そんな話ぜんぜん知らないし。」

ロ 「輝勇石は自らの意思を持ち 持つべき者の手へ渡る。
   ヒヨがそれを手にしたのは偶然ではなく 必然なんだよ。」

ヒ 「・・・少し・・・ 時間をくれないか?」

ロ 「夕方まで待とう。 俺たちもそうのんびりはしていられない。」



ヒヨは小さく頷き そのまま大広間を後にした。

そして 再び王室へと戻り 手の中にある輝勇石の輝きを瞳に映した。



まさかこの石が トン・ソォークを倒すカギを握っていたなんて。

散らばった6つの中の一つ 信頼の意味を持つ緑の輝勇石。

僕が その戦士・・・。

サラシャ達と旅に出て この手でトン・ソォークを倒すことが出来るなら

それは願ってもないことだ。 グッチャグチャのギッタギタにしてやりたい。

だけど・・・・・・・。



そう深く思い悩むヒヨの様子を レヴはじっとドアの影から見ていた。







所変わって 大広間 ――――――



フ 「ヒヨ 一緒に来てくれるかな?」

サ 「うーん どぅだろうね?」

フ 「どうだろうねって 来てくれないと困るじゃん。」

サ 「でも 決めるのはヒヨだから。」

フ 「そりゃ そうだけどさー。」



ヒヨがどう決めようが 誰にも文句を言う資格はない。

わかってはいても フジールは理不尽に思えた。

それに 輝勇石を持つヒヨが羨ましかった。

輝勇石の戦士はサラシャに必要とされてるから。

サラシャと一緒に輝勇石を探す旅に出たはいいけど

自分はサラシャに必要とされているのだろうか?

最近になってフジールは そう不安を抱くようになっていた。



ロ 「どうかしたのか? フジール。」

フ 「あ・・・ べ、別に。」

ロ 「ならいいが。」









夕方になり 出発の準備を整えたサラシャ達はチキン王国の外門にいた。

そこへ ヒヨがやって来た。



ヒ 「もう 行くんだね?」

ロ 「あぁ。 答えは出たのか?」



ロクスが問うと ヒヨは少し間を置きゆっくり話し始めた。



ヒ 「今回のことは 君たちにとても感謝している。
   どれだけお礼を言っても足りないくらいだ。
   だから 君たちの力になりたいと思った・・・。」

フ 「じゃあ!?」

ヒ 「でも ごめん。 やっぱり一緒には行けない。
   このままチキン王国をほおっておくことは出来ない。
   僕には王子としての責任がある。
   街が元通りになるまではここを離れるわけにはいかない。」



そう言うと ヒヨは深々と頭を下げた。

ヒヨの出す答えをわかっていたのかサラシャは そんなヒヨに笑顔を向ける。



サ 「うん。わかった。 ヒヨが謝ることはないよ。」

フ 「え? いいのか サラシャ? だって・・・ おわっ!」



ロクスは ちょっと納得いかない感のフジールの背中を押し

タトゥミは前によろけたフジールの腕を取り 歩き出した。



ロ 「ほら さっさと歩け。 出発だ。」

タ 「行くわよ。フジール。」

フ 「だけどさ!」

タ 「人にはそれぞれ進むべき道があるわ。 今回はそれが重ならなかっただけ。
   それだけのことよ。」

サ 「うん。そーゆーことです。わかった?」

フ 「・・・・なんとなく。」

サ 「じゃあ ヒヨ。 わたし達もう行くね。 街の復興頑張って。」

ヒ 「ありがとう。 サラシャ達も気をつけて。」



チキン王国を後にするサラシャ達の後姿を見送り ヒヨは一つため息をつく。

そして気合を入れ直すように 自分の顔をパンパンと叩いて

街へ足を向けると リュックを片手に立つレヴの姿があった。



ヒ 「なんだ レヴ。 いたのか? 今、サラシャ達を見送ったところだよ。」



レヴは 何も言わすヒヨにそのリュックを投げ渡した。



ヒ 「な、なんだよ コレは?」

レ 「一通りの工具と 使えそうな資源を詰めておいた。」

ヒ 「・・・・レヴ?」

レ 「行けよ サラシャ達と。」

ヒ 「でも・・・ 街の復興が・・・・」

レ 「そんなのは俺たちでやるから大丈夫だって。前以上の街を作ってやるさ。
   それとも何か? 俺じゃ頼りないって?」

ヒ 「そういうわけじゃ・・・。」



ヒヨはうつむき 工具と資源そしてレヴの気持ちが詰まったリュックをギュッと握りしめた。

確かに行きたいという気持ちはあった。

でも チキン王国の民を守る為とはいえ

自分の手で街を破壊したことが ヒヨの気持ちにストップをかけていた。



ヒ 「レヴの気持ちはありがたいけど。やっぱり僕は・・・」

レ 「資源をここに運んでる時にさ サラシャが言ってた。
   今自分に出来ることをするって。 ヒヨが今やることは街の復興なんかじゃない。
   ヒヨにしか出来ないことがあるだろ?」

民衆 「そうですよ、王子!」

民衆 「チキン王国のことは俺たちに任せて 行ってください王子。」

兵士 「私たちが チキン王国を守ってみせます。」

兵士 「王子の手でトン・ソォークを倒して下さい。」

ヒ  「み、みんな・・・」



いつの間にか レヴの後ろに集まった民衆と兵士たち。

それぞれの言葉が ヒヨの進もうとしていた道を開き

皆の強い意思と熱い眼差しを浴び ヒヨは決心をした。



レ  「ほら 早く行けよ。 置いていかれるぞ。」

ヒ  「・・・・ありがとう。
    みんな 僕が留守の間 チキン王国をよろしく頼む。」

レ  「OK 任された。」

ヒ  「じゃあ 行ってくる!」





ヒヨはレヴと堅い握手を交わし チキン王国を背にして走りだす。

前を行くサラシャ達を見つけ 声を上げて手を振ると

サラシャ達は 笑顔でヒヨを迎えた。









   


TOP