ロ 「ヒヨ。 あまり自分を責めるな。」
ヒ 「だって 僕が軽率だったばっかりにサラシャが・・・」
タ 「ヒヨの責任じゃないわ。 アタクシ達が何も出来なかったから。」
フ 「そうだよ。 ヒヨがいなきゃ 今頃俺たちは全滅してたっての。」
ロ 「とにかく今はドラゴ王国へ向かおう。」
ヒ 「えっ? サラシャのことはいいのか?」
サラシャを助けるのが優先だと思っていたヒヨはロクスの言葉に驚く。
ロ 「良くはないが・・・。 サラシャもどうにかしてドラゴ王国へ向かうはずだ。
アレでも一国のお姫様なんでね。(謎)」
フ 「どうにかしてって・・・ さらわれたんだぞ!? どっかで殺されるってことも・・・」
ロ 「大丈夫だ。 それはない。」
タ 「どうしてそう断言出来るの?」
ロ 「何かさらった意図はあったとしても 命までは奪わないだろう。
奪う気ならとっくに出来たはずだからな。」
タ 「それはそうね。」
ロ 「あと気になるのが 魔物が確実に俺たちを狙っているということだ。」
タ 「おそらくバレているんだわ。」
ヒ 「僕たちが輝勇石を集めいるってことが!?」
ロ 「あぁ。輝勇石を全て集める前に消そうとしているんだろう。」
これでまた一つ厄介なことになった。
魔物達はこれからも行く手を阻んでくるに違いない。
世界が闇に呑まれるが早いか 輝勇石を揃えるのが早いか・・・
ただわかっているのは 残された時間は多くはないということだ。
ロ 「ヒヨ ふさぎ込んでいてもしょうがない。先を急ごう。
確かドラゴ王国はここから一直線だったな。」
ヒ 「あ・・・ うん。」
先を歩くロクスの背中はとても冷静に見えた。
しかし ロクスの内情は穏やかなものではなかった。
護衛隊長としての失態。 この事態を招いたのは自分だと己を責め
サラシャの安否を気付かわずにいられなかった。
二度と同じ過ちを繰り返さないとあの日誓ったのに・・・
ロクスは自分への怒りを抑え 額の傷に手をあてた。
サラシャはというと・・・・
サ 「あれ? ここどこ?」
気を失っていたサラシャが目を覚ます。
視界に飛び込んでくる空 そして かすかに香る草の匂い。
サラシャは地べたで横になっていた。
? 「ふん。やっとお目覚めか?」
その隣で座り込みフーと煙草の煙をはく男。 あの賞金稼ぎだ。
サラシャは 知らない人の声にガバッと飛び起きる。
サ 「あなた誰? トマトはどうなった? みんなは? なんでここにいんの?」
? 「一気に質問しすぎだろ。 俺はリュール。一流の賞金稼ぎだ。
トマト魔軍団は俺とチキン王国の王子 そして妙な生き物で全滅させた。
他の奴らは まぁとりあえずは生きているんじゃねーか?
なんでここにいるかは 俺があんたをさらったからだ。」
サ 「へぇ〜。そう。私たちを助けてくれたんだね。 ありがとっ♪」
リ 「礼には及ばない。 ちゃんと金はもらった。
つーかよ 普通ビビるところじゃないのか? 自分 さらわれてるんだぞ?」
サ 「あ、そういえばそうだよねぇ。 困ったことになってます。
つーわけで 仲間のもとへ返して下さい。」
リ 「断る。」
サ 「む〜。 なんでこんなことしたのか知んないけど ロクスが黙っちゃいないよ?」
リ 「かの有名なお世話係か。だが 頼みのロクスはここにはいない。
あんたの運命は俺の手の中だ。」
サ 「私を殺す気なら それは自殺行為だと思ってね。」
リ 「自殺行為?」
サ 「必ずロクスに殺されるよ。」
今までふざけた調子だったサラシャが 急に冷徹な表情を見せた。
豹変したサラシャに 思わずポトリと煙草を落とすリュール。
さらわれた身でありながら ここまで強くいられるとは・・・
リ 「まぁ そんな怖い顔すんなよ。 別に殺そうとしてるわけじゃない。
俺はあんたを連れて来いって依頼を受けただけだしな。」
サ 「誰に?」
リ 「それは 言えねぇな。 契約違反をしたら約束の金がパーだ。」
このリュールという賞金稼ぎは 誰かの依頼でサラシャをさらったようだ。
賞金稼ぎをしてるということは それなりに腕にも自信があるのだろう。
なにせ自分で一流と言っているくらいだ。
当然 サラシャが力で何とかできる相手ではない。
頼れる仲間とはぐれ 旅に出て初めて独りになったサラシャ。
この窮地から一体どうやって抜け出すのだろうか・・・。
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