ドラゴ王国に平和が戻ったことに安心し
ベランダへ出て空を見上げるサラシャに後ろからフジールが近寄った。
フ 「サラシャ・・・。」
サ 「ん?」
フ 「なんつーかさ。 無事で良かった。」
サ 「うん。シギュマ先生の魔除薬のおかげだね。」
フ 「ドラゴ王国のこともそうだけどさ・・・。サラシャが無事でホントに良かった。」
サ 「あったり前じゃない。 私は転んでもタダじゃ〜起きないわよ。(笑)」
せっかく恋人同士(忘れがちですが一応そういう設定です)久々のご対面〜なのに
なんかもう ムードのカケラもないぉ姫さんですいません。
めさめさ心配してたのに 冗談めいた言葉で返すサラシャについカッとなるフジール。
フ 「そんなことはわかってるけどさ! 心配してたんだっつーの!」
サ 「な、なによぅ。怒ることないじゃない。」
普段滅多なことで怒らないフジールにサラシャはちょびっと驚く。
それを見て しまったと思ったフジールはすまなそうにしょぼぼんと肩をすくめた。
フ 「別に怒ってるわけじゃないけどさ・・・。」
サ 「んじゃ 何よ? いつものフジールらしくないよ?」
もしかして 何か悪い物でも食べたのかと
心配そうにフジールの顔を覗きこむサラシャ。
しかし それを気まずそうに顔を逸らしてフジールは言った。
フ 「俺って ここにいる意味あんのかなって・・・。」
サ 「なにそれ?」
フ 「サラシャはすっとこどっこいのように見えて
一人でもやるべきことはちゃんとやるだろ?
それに比べて 俺は何も出来ないし。 なんか 情けないし。
俺がいてもいなくても この旅になんの支障もない・・・」
サ 「そんなことない! 何弱気なこと言ってんのよ。
フジールがいたら楽しいし! それに面白いし! それから賑やかだし!」
フ 「それだけじゃ何の役にも立たないっての。」
今までに見たことのないフジールの様子にサラシャの“ぉ姫様教育平手の極意”が飛ぶ。
バシーン(強め)
フ 「いって――!!」
サ 「このぉ馬鹿ッ! 一緒にいて欲しいって気持ちがわからないのかこの野郎!」
基本的に ぉ姫様がこの野郎とか言っちゃいけません。
しかし フジールはぉ単細胞さんなのでサラシャのその一言で
そりゃもうバラ色気分です。 ここぞとばかりにガバチョです。
フ 「いや、十分わかった!(ほんと単純だな)
サラシャの為なら眉毛だってくりんくりんにするし 羆だって落としてやる!(謎)」
サ 「その意気! それでこそフジールよ♪」
フ 「でもって ロクスより強くなってサラシャを守ってやるからなッ!」
サ 「・・・・・ うん!」
フ 「んだよ その間は? 俺には無理とか思ってたらまた凹むぞ?」
ロ 「ほう。 それは楽しみなことだな。」
戻ってきたロクスが サラシャにへばり付いてるフジールの首根っこを 掴んで引き剥がす。
フ 「いててっ。だーかーらー 引っ張るなっての。服が伸びんだろ!」
ロ 「サラシャ。マオン姫の意識が戻ったそうだ。」
サ 「え? ほんとに!? 会って来る!」
サラシャはフジールをほっぽり出してマオンの部屋に走っていった。
そして 残されたフジールへ静かに視線を落とすロクス。
フ 「何だよ? どうせやたらめったら抱きつくなとか言うんだろ?」
ロ 「まぁ それもあるが・・・。 強くなろうとする意志は褒めてやる。
サラシャの為に強くなれ フジール。」
フ 「なんか ロクスにそう言われると調子狂うんだけど。」
ロ 「もっとも 俺より強くなるのは無理だろうがな。」
最後はいつもと変わらない嫌味風味の言い回しだったが
フジールにはそれが励ましの言葉のようにも思えた。
フ 「そのうち 追い抜いてやるさっ。」
勢いよくドアを開け部屋に入ったサラシャに
すっかり元気になったマオンは ベットからバビューンと飛びつく。
マ 「サラシャ〜!」
サ 「マオン〜!」
その傍らでは二人の姿をヒヨが嬉しそうに微笑んで見ていた。
マ 「ヒヨから聞いたわ。 ドラゴ王国を救ってくれてありがとう。」
サ 「みんなのおかげだけどね。
それに御礼を言うのは私のほうだよ。輝勇石の貴重な情報をありがとう。」
マ 「どう致しまして♪ サラシャの旅の手伝いが出来てアタシも嬉しいわ。」
サ 「マオンも元気になったし さっそく忍者の里に行ってみることにするよ。」
マ 「そうだね。ゆっくりはしてられないもんね。
あ、そうそう。今のうちに地図も渡しておくよ。頑張りなよ!」
サ 「うん!」
マ 「ヒヨも頑張ってね。 サラシャのことよろしく頼むよ。
てか ヒヨが輝勇石の戦士だったとは驚きだけどー。」
ヒ 「うん、まかせとけ。 まぁ 僕も聞いた時はびっくりだったけどね。」
マ 「世界を救わなきゃ回し蹴りお見舞いするから。」
ヒ 「いや・・・。 それは勘弁。(汗)」
サ 「あー。回し蹴りといえば 私もそこそこ出来るようになったのよ♪」
マ 「そこそこじゃ、まだ甘いわよサラシャ。 こう、腰の回転を・・・。」
サ 「ふむふむ。 そんで?」
目の前で回し蹴り講習が始まり ほんとこの世界のお姫様達って・・・(汗) と思うヒヨ。
そして 回し蹴りの実験台にされる前に 静かに部屋の外へ出た。(避難ともいう)
それから数時間後 講習も終わり(そんなにやってたのか!?)
食料や水の他 旅に必要となるものをマオンに分けてもらって出発の時を迎えた。
そこで 見送りに出たユーンがサラシャに箱を手渡した。
ユ 「国王様から もしサラシャ様にお会いしたら渡すようにと預かったのですが。」
サ 「ん? どれどれ・・・」
ユーンから受け取った箱を開けると
みょよよ〜ん!
蛇っころのおもちゃがサラシャの顔めがけて飛び出してきた。(なんとも古典的なビックリ箱だ)
サ 「のわ――ッ!! な、なによぅお父様ったら!! このっこのっ こうしてやるー!」
出てきた蛇っころ(おもちゃ)を ドスドスと踏みつけるサラシャに唖然とするタトゥミ達。
ロクスやユーン そしてマオンはやれやれといった表情でそれを見ていた。
タ 「国王様って あぁいったことをするものなの?」
リ 「俺に聞くなよ・・・。」
ヒ 「西の大国って程だから もっと厳粛な国王かと思ってたけど・・・。」
サ 「きしー! 悔すぃ! まんまとやられたわ! クソクソお父様めッ!」
ロ 「 (だから 姫が“クソ”とか言うな)
サラシャ。 もう それくらいにしておけ。 中に手紙が入ってるだろう?」
サ 「あ ホントだ。 んーと 何々・・・」
箱の中を覗いてみると ロクスが言うとおり一通の手紙がしのばせてあった。
=サラシャへ=
ふぉふぉふぉ。 驚いただろう?
昔 髭を焦がしてくれたお返しだ。(これでも根にもってたりするんだぞ)
お父様を甘く見るでなーい。 ふぉふぉふぉ。
さてと 旅のほうはいかがなものかな?
おまえのことだ。 きっと適当にぽよぽよと頑張っていることだろう。
ロクスがいるから何も心配はしていないが
あまり無茶なことはせぬよう心がけるように。(フリだけでもいいぞ)
輝勇石を揃え 世界を救ってくれると信じている。
自分の選んだ道を信じて力強く歩んで行け。
=トティ国王=
サ 「お父様・・・。」
もっともらしいことが書かれてたのは 最後の2行だけだったが
サラシャには十分国王の気持ちが伝わってきた。
国王の言葉をしっかりと胸に受け止め サラシャはドラゴ王国を後にする。
次なる目的地は 黄色の輝勇石がある忍者の里。
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