魔女というからには しわしわでウヒャヒャな感じを想像していたが
そこにいたのは若い娘さんだった。
「あの・・・? あなたが魔女さんですか?」
「えぇ、そうですよ。俺が魔女のミャカです。」
「こんなに若いとは驚きだな。」
「見た目は若くても 歳はゆうに1200歳を超えてます。」
「うぉ! すっげ、長生きじゃん♪」
何処からどう見ても 1200歳を超えてる風には見えないが
魔女特有の黒いケープをまとい 水晶玉をかざしてるあたり
魔女だということは間違いなさそうだ。
部屋の片隅には 魔女の必須アイテム空飛ぶホウキも立てかけてある。
「そんなことより俺に何か用でも?」
「私はラブチュ王国のサラシャと言います。私たち輝勇石を探しているんです。」
「輝勇石ですと!?」
「何か知ってる顔だな。1200年以上も生きていれば当然のことか。」
“輝勇石”と聞き 魔女ミャカの顔に焦りの色がさした。
「まさか・・・ あのトン・ソォークが復活したのか?」
「そのまさかなんだよ。世界はえらいこっちゃになってるんだ。」
「それでお前たちが輝勇石を集めてトン・ソォークを倒そうと?」
「そういうことだ。」
「・・・・・・。」
魔女ミャカは 何か深く考え込む様子で 黙り込んでしまった。
辛抱たまらず サラシャが遠慮がちかつ直球で 魔女ミャカに問いかける。
「で、ぉ手軽に輝勇石のある場所がわかれば教えてもらいたいんだけど。」
「結論から言えば輝勇石のある場所はわからない。
あの石は自らの意志で 持つべき者の元へ行くと聞く。」
「持つべき者?」
「輝勇石に秘められし力を 扱える者とでも言っておこうか。」
「やっぱただの石っころじゃないんだな。」
「しかし 石が勝手に動き出すとは思えないが?」
「もちろん輝勇石が独りでに動くわけではない。
何らかのルートを経て 持つべき者の手に渡るのだ。」
「じゃあ もし私達が輝勇石を見つけたとしても
輝勇石はその持つべき人の所へ行っちゃうってこと?」
「そうだね、君たちが持つべき者でない限りね。」
「えぇー!? じゃあどうするんだよ。見つけても意味ないじゃん。」
やっと輝勇石の話を聞けたはいいが
ただ輝勇石を6個集めればいいと思っていたサラシャとフジールには
かなりイタい情報だった。
魔女さんでも 輝勇石のある場所はわからないという。
かりに見つけたとしても 自らの意志を持つという輝勇石は
サラシャの手から離れてゆくという。
持つべき者でないと 輝勇石を手に入れることは出来ない。
早くも 壁にぶつかったサラシャは この先どうすればいいのかを
ない知恵を絞って考えていた。
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