〜 知られざる運命 〜



「おい、サラシャ。 どーすんだよ?」

「・・・・」

「聞いてんのかぁ? ぽよ〜としてる場合じゃないっての!」

「うるさいフジール! 人が考えてる時に大声出さないでッ!!」



バチーン!



ぉ姫様教育第36項“平手の極意”で鍛えた平手が 容赦なくフジールに飛ぶ。

クリーンヒットしたフジールの頭の周りには 星がキラキラと舞っていた。


さすが進んで教育を受けていた課目だけあって 狙いは外さないな。

しかし これで恋仲と言うから不思議なものだ。


ロクスはサラシャの平手に感心しつつ 二人の仲を疑念しつつ

痛ましいフジールを気遣うことなく 人って衝撃を喰らうとほんとに星がでるんだな。

などと どーでもいいことまで考えたりしていた。



「で、サラシャ。 何かいい考えは浮かんだのか?」

「うん。 私達が輝勇石を見つけても意味がない。
 だったら意味のある人。輝勇石を持つべき人を探せばいいと思う。
 そしたら一石二鳥でへへへのカッパでしょ?」

「ご名答・・・だな。 (最後のへへへは余計だが。)」

「ね? そうゆうことでしょ。魔女ミャカさん。」

「そうだね。どちらにせよ見つけるのは困難だろうけど。」

「一つ聞きたいんだが。魔女ミャカは輝勇石を見たことがあるのか?」

「なぜそんなことを?」

「輝勇石が存在するという 確証が欲しいからだ。どうなんだ?」

「・・・・一度だけね。
 遥か昔 トン・ソォークを封印した話は知っているだろう?
 その7人の勇者の中に 俺たち魔法族の長がいたんだ。」

「なるほどな。」

「それで? その輝勇石はどうなったわけ? 」



いつの間にやら 意識を取り戻したフジールが話に飛びつく。



「さっきも言ったけど 確かな場所はわからない。
 俺は魔法族の地を長くはなれているからね。
 もう何処かに行ってしまったか あるいは魔法族の中に受け継いでいる者がいるか。」

「そっかぁ・・・」

「一度 魔法族が暮らす杜の都に行ってみるといい。
 輝勇石はないにしても 何かしら痕跡は見つけ出せるかも知れない。」

「うん、わかった。貴重な情報ありがとう♪」

「影ながら応援しているよ。トン・ソォークを倒す日を心待ちにしている。
 サラシャ姫、そなたには・・・」



魔女ミャカがそこまで言うと ロクスが無理に口を挟んだ。



「まだ聞きたいことがある。悪いがサラシャとフジールは外で待っていてくれ。
 個人的なことなんでな。」

「むぅ〜、何さそれ? 隠し事は良くないわよ。」

「そーだそーだ!」

「いいから黙って外に出てろ。アイス取り上げるぞ?」

「!! ほら、何やってんのフジール。外に行くわよ。」

「へっ!? (単純すぎやしないか!?)」



アイスを取り上げられちゃ たまったもんじゃないと

サラシャはフジールをズルズルと引きずり部屋の外へと出た。





パタン





「なぜ止めた? 水晶に映ったサラシャの周りには6つの光が見えた。

 それは言ってはいけないことだったのか?」

「サラシャにはまだ何の意識もないし 自覚もない。」

「それじゃ 何も知らないで輝勇石を集めてると!?」

「あぁ、そうだ。」

「いいのかそれで? ちゃんと話しておいたほうが良いのでは?」

「今のサラシャには荷が重すぎる。
 本来なら時期を見て旅立つべきだったが予定が狂ってな。
 この旅の中で その時が来たら話すつもりだ。」

「時期ね・・・ この旅はおそらく想像以上に厳しいものとなる。
 大丈夫なのか?」

「その心配は無用だ。ああ見えても うちのぉ姫さんはそんなにやわじゃないからな。」

「そうか。なら もう何も言わないよ。」

「それから最後に一つ 見てもらいたいものがあるんだが・・・」



そう言うとロクスは 手の中に握っているものを 魔女ミャカに差し出した。



「こ、これはっ!?」









その頃、外にほっぽり出された二人は・・・・



「個人的な話って何かしらね?」

「魔女さんに一目惚れしたとか!? もしやロクスはロリコンか!?」

「アハハ、まっさかぁ〜。私じゃあるまいし。」

「・・・汗  (おまえ ロリコンなのかよ!)」

「それに魔女さんは1200歳超えてるんだよ。」

「あ、そか。 なら、すんげぇ年上好みってことになるな。」

「それでも 激しく離れすぎじゃない。」

「なら、あれだ。 占いだな。 運命の出会いとか占ってもらってるんだ。
 ずっと王国暮らしで出会いもへったくれもなっかったろ? きっとそれだ。」



ケタケタと笑いながら話すフジールの背後に

殺気とも思えるオーラをまとったロクスが歩み寄る。



「斬られたいのか?」

「え・・・ 遠慮しとく。」



斬れるものなら斬ってみろ〜。 と 大きく出たら本当に斬られそうな勢いだったので

フジールは苦笑いをして 丁重にお断りをした。



「あ、ロクス。個人面談終わったんだ?」

「くだらないこと言ってないで さっさと行くぞ。」





先の見えない 遠く 長く 続く道。

しかし確実に 運命を辿る道。





まだ何も知らないサラシャは 杜の都を目指し その運命に歩み寄る。

 







  


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